雑俳の風景―19

溝口 浩

 

元寇の生の松原鳥帰る

 

福岡市の姪の浜から佐賀県の唐津に向かって博多湾沿いに面積約40ヘクタールにわたって広がる黒松を主体とした松林があります、これが生の松原。神功皇后が三韓出兵の際に植えた松が起源と伝わっています。

三韓征伐は、神功皇后が新羅出兵を行い、朝鮮半島の広い地域を服属下においたとされる戦争を指します。神功皇后は、仲哀天皇の后で応神天皇の母、経緯は『古事記』『日本書紀』に記載されています。

 

ここには元寇防塁跡が一部残っています。元寇とは、鎌倉時代中期に、当時中国大陸を支配していた大元王朝およびその属国である高麗王国が2度にわたり攻めてきました文永の役(1274年)と弘安の役(1281年)です。特に2度目の弘安の役において日本へ派遣された艦隊は、当時世界最大規模の艦隊であったといいます。この危機を執権北条時宗の指揮のもと特に西国の武士がよく戦い、台風の襲来もあって元軍を壊滅させました。この時博多湾を中心に海岸線に長大な防塁を築き、これが大きな効果を上げたのです。

 

生の松原の特に唐津に近いところで採れる茸は松露と呼ばれ、トリフにも比せられる珍味として珍重されていますが量が少ないので唐津でも一部の店でしか味わえません。この松露のイメージから作られたのが松露饅頭で唐津の名物として唐津土産の定番になっています。美味しいですよ。

…つづく