雑俳の風景―18

溝口 浩

初雷や大名縞の畝黒き

 

私の長年住まうところは古くから「海松台」と呼ばれるように昔は江戸湾が深く入り込んでおり、沢山の岬の中のひとつだったのでしょう。その名残でしょうか貝塚もあちこちに残っています。この台地の部分には古くから人が住み着いていたのですがその間に入りこんでいる低地の部分はうちすてられたままで、白鷺が飛んでいたりしてのどかな風情でした。ところが都心からほどほどに離れた土地ではありがちなことですが、今ではすべて住宅地として埋め尽くされているのは昔を知る者には隔世の感といわざるをえません。

 

元は岬のうちのひとつを訪ねるとこの時期見事に耕された黒い畝が種まきを待っているのか、それともすでに終わったのか、ただ見惚れるばかりです。

 

大名縞は縞と縞の間の地あきが、縞の倍以上もある細かい堅縞をいいます

江戸時代に木綿の単衣もの用に大流行しました。畑の畝の黒の織りなす見事さにしばしの間みとれていると閃いたのが大名縞。まさに大名縞だ。

 

初雷は立春後初めて鳴る雷。啓蟄の頃よく鳴るので虫出しともいいます。

…つづく