雑俳の風景―5

溝口 浩

火山灰埃払ひ媼の枇杷啜る

 

桜島は枇杷の名産地です。小粒ですが果汁のしたたる熟れた枇杷は実に美味い。桜島の枇杷は長崎から移植されたものと聞いていますが、南国の太陽と溶岩台地の環境が小粒ながら長崎枇杷とはまた違った味を醸しています。

枇杷は中国原産の果実で、江戸時代の天保の頃に長崎市中に女中奉公に来ていた三浦シオが、唐通詞(とうつうじ)から種を貰い受け、茂木の自宅の畑に播いたのが始まりとされています。

袋掛けをしてある枇杷もよく熟れて、畑のお婆さんが火山灰を払い、枇杷を

よよとすすっている。冷蔵庫で冷やしたりしていないその美味しさをお婆さんに聞いてみたい気になります。

火山灰は「よな」と読むので「よなぼこり」、媼は「おうな」です。

…つづく