雑俳の風景―3

溝口 浩

卓袱台の距離に妻をり新茶汲む

 

「ご夫妻は円満ですか」と問われれば「円満です」と答えますが奥方がなんと答えるかはわからない。こんなことは別に不思議なことでもないとは思うけれども、それでは夫婦円満とはどんなことかと聞かれても答えに窮します。

そんなことをいいながらうちの夫婦は円満です、ということ自体がすでに円満な夫婦なんだよ、といわれそうですが昔はともかく五十年以上も夫婦でいてお互い助け合っているだけで円満なんでしょう。もっとも一方的に助けられてるのは私ですが。

 

そんな夫婦の立ち位置はどうなんでしょう。要するに夏は暑苦しくない距離、冬は隙間風が通り過ぎない夫婦の間の距離とはどのくらいなんでしょう。

 

今では見ることもなくなった卓袱台は四畳半でも使える大きさだから向かい合って座ってもたいした距離でもない。子供が居るころは卓袱台を中に夫婦が向かい合い、その間に子供たちが序列に準じて座っていましたが、子供たちがいなくなると夫婦の座る位置に微妙な変化が表れて遠くなったり近くなったり。それでも真向いより遠くなることは無い。これが円満夫婦の距離かな。

…つづく