雑俳の風景―2

溝口 浩

蜩やレジ袋さげ妻の後

 

奥方のお供で買い物にでかけ両手にレジ袋でようやく我が家の門前に。ここで初蜩が鳴くのです。おやおや蜩、と聞きほれていると玄関先から奥方の声、おとうさん何してるのよ。その瞬間出来たのがこの句。

この句が意外にも好評で「己を真っ直ぐ見つめる微笑ましい俳句である。あれこれと買いこれからまだ何か買うのかもしれない。妻には妻の考えがあり夫である作者は黙ってついてゆくほかないのである。リタイア後の夫婦のある姿がユーモラスに表現されている。」とか、「おぬしお前もかと共感の持てる句」など予想外の反応をいただいています。

こうして好評をいただくのはありがたいのですが、気が付いてみると私の家庭内での立ち位置が世間に公表されてしまったのはよかったのかどうか。聞くところによれば奥方に従順であることが夫婦円満の秘訣らしいから仲の良い夫婦としての印象を与えていることは悪いことではないでしょうね。

…つづく