雑俳の風景-1

溝口 浩

 

俳句を齧り始めて十年目です。勉強しているといえば体裁はいいのですが、実態はただひねくり回しているだけかもしれません。

...と私らしくもなくへりくだってみましたが、まがりなりにも十年もやっていればそれなりの句は作れるようになるもので、これはもう才能なんかではなくてただ十年の歳月が与えてくれたものかもしれません。

天文を考え顔の蛙かな   小林一茶

私の好きな句です、こんな句が作れるようになれたらと思います。一茶の時代の天文とは今の時代の天文学とはちがって歴史とか世の中の動きなどを含めた世界だったことを理解したうえで。上目使いにじっと座り込んでいる蛙、この場合「蛙」は芭蕉の有名な句と同様に「かわず」と読みますが、蛙がこうして長い時間じっとしているのを見ると、何か天の動き、時の流れを見つめているような気がする。実態は蛙にそんな気は全く無くて、眼が上についてるもんだから天の動きを眺めているように見えるだけで、蠅かなんかが飛んでくるのをただひたすら待っているだけというのが実態なのでしょう。

そんなことは承知しながら蛙を哲学者のように見る一茶の遊び心がなんとも嬉しいのです。次回からは拙句の風景を辿ってみます。

…つづく