検査入院―10

溝口 浩

神経心理学的検査―4

一桁、二桁、または三桁の数字を五つ並べる。はい、今の数字を言って下さい。よくできました。今度はこれから言う五つの数字を逆から言ってください。

時計を見ると始めてから一時間を過ぎている。これから言う数字と仮名文字を小さい順の数字とアイウエオ順の仮名文字に分けて答えてください。

ぼつぼつ頭の中が白くなってきた。脳神経が固まってしまったらしい。

「ちょっと休ませてくれませんか」

「疲れましたか、それではこれで終わりにしましょう」

「いいんですか」

「もう十分に答えていただきました」

それなら早くやめてくれればいいのに、何のために続けたのか、と云いたくなる。この先生はどんな思いで質問を浴びせつづけたのだろう、こちらが悪戦苦闘しているのを楽しんでいたんじゃないかと疑ったりもしたくなる。

病室に戻るとベッドに倒れたまましばらくは放心状態が続いた。

そんなこんなで10日は瞬く間に過ぎ、勿論最新鋭の検査機を使っての診断から病名は確定した。だからといって完治したわけでは勿論なく、治療は続きます。

蛇足だが発汗検査では何も問題無しで、神経新医学的検査では多少の難はあるが年齢的範囲内に留まっているので特に問題は無いとのご託宣だったのは幸せでした。

おわり