検査入院―1

溝口 浩

いきなりの車椅子

案内されたのは11階の4人部屋、無料の部屋は満室で一日六千円というこの部屋の中には共用の洗面が備えてある。鏡は個人個人に専用が付いていて、TVは無料で見放題という。窓際のベッドだから窓からは駿河台一帯の眺望が開けている。少々の無駄金を払っても息詰まる部屋に押し込まれるよりはいい。

入院ということになれば今までに2度、学生時代の蓄膿手術とそれから50年を経た4年前にその術後膿疱が動き出したのを手術した時の2回だけ。入院給付金付きの保険が泣いている。とはいえむしろ幸せなことでもあるのだが。

そんな私が10日間の検査入院、何故検査入院かとの質問にはご説明するほどのものでもないからあえて申し上げませんが、初体験の検査のいくつかをお話します。

胸部X線と体重、身長測定、それに血液採取の場所は入院棟の1階にあるが入院棟外ということになっている。迎えの看護婦さんが病室にやってきて「さあ、どうぞ」という。見ればなんと車椅子、「歩けますよ」と返せど医師の判断が付くまでは、入院病棟外に出る時は車椅子なんだそうで、これは強制です。仕方なく車椅子に座ったのはいいけれど、押したことはあっても初車椅子となると、いきなり病人にさせられたようで悲しい。こんなことでは退院時には本当に病人になってしまうかも。

…つづく