音楽に支えられた人生―16

浅香匤可

スメタナのフアン

 

先日、小学校の幼友達・神宮清さんから来たメールの一端にスメタナの歌劇「売られた花嫁」序曲について触れていた。

「この歌劇は全体を通して聴いたこともないが、梅毒にかかって耳が聞こえなくなったスメタナが、八分音符から十六分音符の複雑な和音で構成されているこの「序曲」、そして我祖国の代表作「交響詩・モルダウ」の発想が一体どこから出たのだろう」

私も、何枚か小遣いで貯めて買ったSPのレコードの中の一枚にこの好きな曲・・・、「売られた花嫁」序曲、は当然含まれていた。

昭和28年ごろだった。改めて聴いてみる。

「売られた花嫁」のメロディの裏にはその当時のはつらつとした人生の姿が映る。

ドボルザークと共にボヘミアを代表する作曲家でスメタナの油ののっていた頃の作品で、明るく華麗な旋律が曲全体に漂い、心の中が洗い拭われるような気がする曲だ。

母の集めたSPとは別に私も小遣いの中から好きな曲を買える範囲でSPで集めた。

先述のスメタナ以外では、ニコライの「ウインザーの陽気な女房達」序曲、ビゼーの「交響曲第1番」、プロコフィエフの「古典交響曲」リストの「交響詩・前奏曲」など・・・。

30分以上の交響曲や協奏曲はSPの場合枚数も多く、且、値段も高くなるし、またそのような曲はラジオでたびたび流しているので、私の収集は小品が多かったが、初めて買ったLPレコードがパブロ・カザルスのドボルザークのチェロ協奏曲、とブラームスの交響曲第1番、4番(共にブルーノワルター)だった。

カザルスが偉大な芸術家である・・・というのは五木寛之の「青春の証明」だったか「人間の証明」だったか記憶も内容も、途切れ途切れではっきりしないが、3人のパブロ・・・という文の中にこの「パブロ・カザルス」と「パブロ・ピカソ」・・・あとは覚えていないが・・・偉大なる芸術家云々・・・と書いてあったことも微かに覚えている。

…つづく