音楽に支えられた人生―14

浅香匤可

フォスター

あらえびすの言葉を借りれば・・・アメリカのシューベルトと云われた「スティーブン・コリンズ・フォスター」・・・私はこのフォスターの作品が大好きだった。

当時、津川主一主幹の140曲余り書かれた楽譜付きのフォスターの全集を買い、その中で有名な「オールド・ブラック・ジョー」「ケンタッキーの我が家」「故郷の人々」「草競馬」「おお!スザンナ」「主人は冷たき土に眠る」「夢見る人々」「金髪のジェニー」など、下手な英語でとりわけ音痴な歌を口ずさんだ。

甘くロマンティックな哀愁を帯びたメロディー、コミカルな曲、生活の中に溶け込んだ曲と様々だが,我々の幼き時代に誰もが口ずさんだフォスターのメロディーは忘れられない

フォスターの生涯を伝記映画にした「懐かしのスワニー」が公開された。船上でフォスター(ドン・アメチー)が恋人ジェニー(アンドレア・リーズ)のために即興で作曲した「金髪のジェニー」をバイオリンで奏でるシーンがある。

船上から見渡す夕暮れの美しい風景の中で、潤んだジェニーの目はフォスターをじっと見つめ、名曲を聴き入る感動的なシーン・・・忘れてはいない。

 

母が台所で炊事をしながらよく歌っていた曲の一つがフォスターの「故郷の人々」だった。この曲は人々から最も愛され、歌い継がれているフォスターの代表作で油の乗り切った24歳頃の作曲。「Old Folks at Home」が原名だが・・・「遥かなるスワニー河・・・・・・・・・」の歌詞で始まり、故郷を偲ぶ哀愁に満ちたメロディーが、幼かった我々の美的感覚と感受性が養われた原点だっただろう。

今でもこの曲が流れると、母の姿を思い出し一緒に口ずさんでみたくなる。

いまだ見たことのないスワニー河の光景を頭の中に描きながら。

1864年(日本では元治元年)フォスターは伏せた床で最後の名曲「夢見る人々」を書き上げて、数日後に38年の生涯を閉じた。

…つづく