「さんぽ道」の記事一覧

つららの坊や-3

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つららの坊や-3 溝口 浩   朝も早くから用意された赤い炎と鉄瓶のお茶を喫しながら、至福の刻を楽しんでいた妻が何気なく見回した部屋の一隅、書架に見つけた青木新門さんの童話、2日前の出来事からの思わぬ出会いに高・・・

つららの坊や-2

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つららの坊や-2 溝口 浩   この日の集いに参加するため越中八尾駅に降り立った老夫婦を迎えてくれたのは富山のボタン雪でした。「あっちゃんもこんな雪を見たんでしょうね」妻のつぶやきと共に二人の間には早世した妻の・・・

つららの坊や-1

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つららの坊や-1 溝口 浩   「エレベーターにその男が乗ってきた時、誰も注意を向けなかった…」傍らで揺らめくローソクの炎に見守られながらの語りが静かに始まると、この日を楽しみに集った聴衆は、瞬く間に「蔭山武人・・・

節目の時

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節目の時 溝口 浩   間もなく八十歳になります。この年齢は傘寿などといわれますが突然雨男になるわけでもありません。なんでも傘の字が中国の崩し字で八と十の組み合わせに見えるからで、鎌倉時代から始まったらしい。七・・・

草津温泉異聞―7

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草津温泉異聞―7 溝口 浩 僥倖 高崎駅のホームは東京方面に向かう人で溢れかえっていた。こりゃ大変だと思ったが救いの神が現れた。なんと列車の出口のすぐ前に階段があって「どうぞどうぞ」と口を開けている、僥倖と言わずして何と・・・

草津温泉異聞―6

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草津温泉異聞―6 溝口 浩 決断と即行 車掌が回ってきた。新幹線は動いているという。仮に高崎線が動いていても上野まで2時間近くかかる。まして雪に弱い東京に近づけば動けなくなるかもしれず、動いても3時間はかかるかも。そのう・・・

草津温泉異聞―5

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草津温泉異聞―5 溝口 浩 高崎駅の混乱   長野原草津口駅の待合室にのんびり座っていると容易ならないアナウンスが聞こえてきた。なんでも特急草津は大雪の為高崎駅で運行を取りやめる、そこから先は在来線を使って勝手・・・

草津温泉異聞―4

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草津温泉異聞―4 溝口 浩 特急草津   宿の車で送ってくれたバス停には多少の不安は感じても雪国の特急を信じて、15時43分発の最終便という草津2・4号にさえ乗り込めばなんとか東京までたどり着けると信じた人たち・・・

草津温泉異聞―3

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草津温泉異聞―3 溝口 浩 雪の道中 この日は大雪が降ると前々から脅かされていた。それでも草津は雪国だからそれなりの対応が出来ると信じてやってきたのだが、降雪の気配はない。湯畑の蕎麦屋でもりそばのつゆが暖かいのを頼んだら・・・

草津温泉異聞―2

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草津温泉異聞―2 溝口 浩 旅の小姐   小姐、広東語で「しゅうちぇ」という。未婚の女性のこと。若い女性が坂を登ってきた。足湯を見つけでほっとしたように我々夫婦の向かい側に陣を取る。 「かなりぬるいですよ」と声・・・

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